大川建具ができるまで〜制作の過程〜

見えないところをきちんとつくる。
手間をかけたつくりの良さは十年、
二十年使うほどににじみでる。

測る

触れて、感じて、
寸法の違いまで

建具は動く。動くがゆえに、枠と組み合わせたときの精度が、なににも増して求められものです。全ての仕事のはじめの一歩であり、作業の都度に求められるのが「測る」という作業。「寸分違わぬ」という言葉通りに、精確な計測なくしては、建具の用をなさなくなってしまうのです。大きすぎる、小さすぎるは、もちろん論外。コンマ数ミリの違いによって、建てつけや動きの良し悪しは大きく左右されます。目で確かめていくと同時に、職人の手練も大切に、触れて、感じる。この手触りで測ることも、美しい建具を仕上げていくために、欠かせない作業のひとつです。

描く

設計図面を製作図面に
変換する

建築家がイメージを具現化するために描く図面と、職人が作るために描く製作図。同じようでありながら、そこには似て非なる図面が存在します。立場が違えば、そこに存在する常識も違う。見方や表現、重きを置くポイントも変わってきます。しかし、異なる図面を通して、同じ方向を向いた一つのものをつくりあげていくときに、大切なのが変換力。相手の立場を考えながらも、自分たちのスキルを活かせる図面へと変換していく。編集力とも言えるその力は、数多くの現場や形を造ってきた経験があってできるもの。クオリティをあげていくために、関わる全ての人の意思疎通ができるような絵を描いています。

刻む

材を整えるために、
準備も道具も整える

製作図のなかで寸法が決まれば、いよいよ材を揃えていく作業のはじまりです。まずは、指定された数字通りの長さや厚みをピッタリと切り出していく。一枚を仕上げるのも難しいですが、枚数を重ねていくのも緊張の連続です。もちろん、完成したものが木の癖や反りによって影響されないように、目の方向などに気を使って、木取りの段階から慎重に選定をしていくことも欠かせません。揃った材は、そこからほぞ穴や小穴、ガラス入れ細工などさらなる加工に入ります。全ての仕上がりを美しくするために必要なことは、道具を揃え、準備を整え、刻んだものを規則正しく揃えていくこと。そうした地道で丁寧な日々の繰り返しが、確かなものづくりに繋がっています。

削る

閉める、開く、繰り返す営みのために

大川建具のどの工房を巡っても、必ずといっていいほど大小それぞれの種類が各種揃えてあるのが鉋(かんな)です。建具職人にとって、削るという作業は、様々なシチュエーションで求められるものになっています。そのひとつが、材料を切り出す木取りの後。矩手や厚みの調整段階で細かな削りが必要となります。それから、刻みの後の仕上げ段階での削り。それぞれに求められる精度も異なり、使われる道具も技術も様々です。適材適所を使い分けることこそが、職人の技に繋がっています。その削りによって生み出される滑らかな動きや機密性、水密性は、果ては耐久性にまで影響しているのです。

嵌める

ぴったり、しっかり、
かっちり、すっきり

ほぞやほぞ穴の加工までを終えるといよいよ最終段階の組み立てです。木の表裏、木目の通りなどの合わせ方を慎重に検討し、ピタリと嵌め合わせていきます。良い建具は、長い時間が経っても反りやくるいが少なく、メンテナンスを重ねれば、ずっと使い続けることができると言われています。そのためには、嵌めるという作業での気配りが要になります。昔は、愛着の湧いた建具は、家を移り住んでも持っていっていたとこともよくあったそう。最近では、リノベーションで昔の建具を受け継いで使うといったことも見られます。新しさの中に懐かしさ、時間の流れを感じることができる建具。経年変化による味わいを楽しむことができ、そこにしかない居心地の良さを生み出すことができる存在でもあります。

Copyright OKAWA TATEGUMI

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